不動産の価格
不動産の価格というと、「地価公示価格」や「路線価」、あるいは「鑑定価格」を思い浮かべるかもしれません。
しかし、今回は実際に不動産売買をおこなう場合に知っておきたい価格の種類を考えてみます。
まず、みなさんがよく目にする価格といえば、広告に出ている価格です。
これは、「売出価格」です。
「売出価格」はどうやって決まるのでしょうか。
通常、一般の方が不動産を売ろうと思っても、価格がわかりにくいため、果たしていくらで売れるのかわかりません。
それでも広告を見たり、近所の人の話を聞いたりして、
「これくらいで売れたらいいな」
「私の家はモノがいいから高めに売れるはず!」
と、自分の中で売りたい価格、売れるはずの価格を考えたりします。
これは、「売却希望価格」です。
具体的に売却をおこなうためには、不動産会社に依頼をすることになります。
そこで提示されるのが、「査定価格」。
「売却希望価格」と「査定価格」は、かけ離れていることが多く、このとき話し合いのうえ決定されるのが「売出価格」です。
でも、いざ売りに出してみると、なかなか売れない。
やっと購入申込が入ったと思ったら「もっと安くしてくれないか?」と…
この価格が、「購入希望価格」です。
その後、交渉のうえ決定されるのが「成約価格」、つまり実際に売買される価格です。
よく「相場」という言葉を聞くと思いますが、これは「成約価格」を参考にしています。
しかし、不動産取引における価格について、
売主さんは「値切られるから高く売りに出す」
買主さんは「値下げを見込んで低く申し込む」
このように考えることがあたりまえのようになっているのが現状です。
そのため、いろいろな思惑を含んだ数種類の価格が存在し、さまざまな駆け引きがおこなわれているのです。
CFP 永田 博宣