宅建業法の一部改正が購入者に与える影響
平成17年から平成18年にかけて、耐震偽装問題やアスベスト問題など、不動産に関連する事件が目立ちました。
国土交通省は、こういった背景のもと、宅地建物取引業法の一部を改正しました。
そこで今回は、平成18年の宅地建物取引業法の一部改正により、「重要事項説明書」に追加されたおもな内容についてご紹介します。
■石綿(アスベスト)使用調査の内容(平成18年4月24日施行)
【宅地建物取引業者(不動産業者)に義務付けられたこと】
売主等に「石綿の使用の有無の調査結果の記録が保存されているか」を照会し、重要事項説明書で「無」「不明」「有」を説明する。
「有」の場合には、「照会先」「調査年月日」「調査の実施機関」「調査の範囲」「石綿使用の有無」「石綿使用の箇所」などを説明する。
■耐震診断の内容(平成18年4月24日施行)
【宅地建物取引業者(不動産業者)に義務付けられたこと】
建築確認通知書(確認済証)の交付年月日の日付が昭和56年5月31日以前である場合、売主等に建物の耐震診断が存在するか照会し、重要事項説明書で「無」「有」を説明する。
「有」の場合には、「建物の耐震診断の結果についての書類」を添付して説明する。
■瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要(平成18年12月20日施行)
【宅地建物取引業者(不動産業者)に義務付けられたこと】
売主に「瑕疵を担保すべき責任に関する保証・保険契約等の措置」を講じるか(講じる予定か)どうか確認し、重要事項説明書で「講じない」「講じる(予定)」を説明する。
「講じる(予定)」場合には、その措置の概要を「保証書・約款などの関係書類」を添付して説明する。
不動産は失敗したからといって簡単に買い換えられるものではありません。
ましてや、瑕疵物件であったなら、それどころではないでしょう。
不動産の重要事項説明は、不動産に関する重要な事項の情報開示を目的としているため、「石綿(アスベスト)使用調査」「耐震診断」「瑕疵担保責任の履行に関する措置」の実施そのものを義務付けているわけではありません。
つまり、上記の項目で「無」または「講じない」と説明された場合には、引渡し後に問題が起きたとしても、説明を受けたうえで「買う」という判断をした購入者の「自己責任」となってしまうのでしょうか?
「場所がいいから」「面積が広いから」「日当たりがいいから」多少のことには目をつぶって不動産を購入する方も少なくありません。
不明確な部分が多い不動産の購入については、最悪のケースを想定して、どのくらいリスクがあるのか(例えばアスベストの撤去が必要になったときに、その撤去費用の負担がどれくらい必要なのか等)知っておきたいところです。
CFP 永田 博宣