一括決済
不動産の売買では、売買契約と残金決済および登記が別々の日に行われることが一般的です。
高額であるため、買主が融資を利用したり、売却物件に抵当権等が設定されていたりするためです。
簡単に説明すると、以下のような流れになります。
■売買契約時
売買契約締結、手付金の授受
■売買契約から残金決済までの間
融資の手配(買主)、抵当権抹消のための手続き・引渡しの準備等(売主)
■残金決済時
残代金の授受、物件の引渡し、所有権移転登記(抵当権抹消、設定登記等含む)
ところが、「売買代金を自己資金で用意できる」「物件に抵当権等が設定されていない」「すぐに引渡しが可能である」等の条件がそろっていれば、この作業を一回でおこなうことができます。
これを、「一括決済」といいます。
いわゆる普通のモノを購入するときと同様に、おカネを全額支払い、不動産の引渡しを受けることになります。
もちろん、所有権はその時点で移転し、登記もおこないます。
売買契約当日は、重要事項の説明を受け、売買契約を締結し、売買代金の授受および分担金の清算と物件の引渡し、そして、登記の申請手続きまでおこなうため、わりと長時間となることが多いでしょう。
このように、「一括決済」では、すべてを一回で終わらせますので、わかりやすく、煩わしくないことがメリットといえますが、その分、事前にしっかり準備をしておきたいものです。
ちなみに、一括決済による不動産売買では、「手付金」「手付解除」「危険負担(引渡し前の滅失・毀損)」等の条項は適用されません。
しかし、瑕疵担保責任等については、通常の不動産売買と変わりません。
CFP 永田 博宣