買換えは売却が先?購入が先?(1)
自宅を売却する理由の多くは「買換え」です。
不動産は価格が大きいので新居を購入しようとするときには、自宅を売却してその資金を充当することになります。
このように売却は「買換え」において新居を購入するための手段の1つになります。
また、購入するにあたり、自宅を売却して借入れをなくしておかないと、住宅ローンを利用できないケースもあります。
購入するために売却するとはいってもこの2つは別々の契約です。
購入にあたり売却が支障とならないようにしておきたいものです。
そのためには、売却と購入を同時に行えることが理想的ですが、実際にはそれほどうまくはいきません。
どうしてなかなかうまくいかないのでしょうか?
不動産取引における「引渡し」とは一般的に売買代金の全額を支払うときに同時に行われます。
売却時には不動産の引き渡しをしないとお金はもらえませんし、購入時にはお金を全額支払わないと入居できません。
引渡し日の朝にすべての家具などを運び出し、売却の決済・購入の決済を済ませた後、新居に荷物を運び込むという離れ業ができれば可能かもしれませんが、現実は難しいでしょう。
また、売却の契約と購入の契約はそれぞれ相手方が違いますから引渡し日を揃えられるかどうかも問題となります。
このように、売却した資金を購入資金に充当しようと思っていても、引渡しとお金の流れのタイミングがずれてしまいます。
この問題を解決するために、大きく分けて3つの方法があります。
1)購入金額を一時的に他から調達する(購入先行)
2)仮住まいをする(売却先行)
3)特約をつける(先行引渡、引渡猶予)
なお、これらの方法はすべて選択できるというものではなく、条件や相手方により選択できないものもあります。
不動産の買換えは、なかなか思うようにいかないものですが、早いうちにその仕組みを知っておけば、それなりに準備もできます。
しっかり準備しておけば、余計な失敗は防げるでしょう。
次回は上記の3つの方法について、もう少し詳しくお話したいと思います。
CFP 永田 博宣