仲介手数料と不動産仲介のしくみ(1)
中古マンションや土地、一戸建てなどを購入するとき、または、売却するときには、通常、仲介業務をおこなう不動産業者(不動産仲介業者)に依頼します。
そして、契約が成立すれば不動産仲介業者に対して、成功報酬として仲介手数料を支払うことになります。
仲介手数料については、ご存知の方も多いでしょう。
【簡易計算式】成約価格の3パーセント+6万円+消費税
この金額が、宅地建物取引業法で定められている「上限」であるということは、またの機会にお話するとして、今回は仲介手数料の金額そのものではなく、仲介手数料と不動産仲介のしくみとの関係について考えてみましょう。
例えば、あなたが中古マンションを購入するときには、不動産仲介業者に仲介手数料を支払います。
そんなとき、なんとなくあなたは、不動産仲介業者は契約を成立させることによって、約3パーセントの収入を得るんだなって思うのではないでしょうか。
それでは、あなたが中古マンションを売却するときはどうでしょうか??
やっぱり支払いますね、仲介手数料。
少しややこしくなりましたので、仲介手数料について整理してみましょう。
・不動産購入のときに「買主」は、不動産仲介業者に仲介手数料を支払う。
・不動産売却のときに「売主」は、不動産仲介業者に仲介手数料を支払う。
・不動産売買契約の当事者は「買主」と「売主」である。
つまり、実際に一つの不動産売買契約で発生している仲介手数料の合計額は、約3パーセントの2倍である「約6パーセント」なのです。
売主が依頼している不動産仲介業者Aは売主から、買主が依頼している不動産仲介業者Bは買主から、それぞれ約3パーセントの仲介手数料を受け取るわけです。
ところが、宅地建物取引業法では、A=Bであることも認められており、その場合、不動産仲介業者は、合計約6パーセントの仲介手数料を受け取ることができます。
なお、不動産仲介の業界では、前者の形態を「分かれ」「片手」、後者の形態を「両手」と言っています。
したがって、一つの不動産売買契約で、不動産仲介業者が受け取る仲介手数料は、「約3パーセント」または「約6パーセント」となります。
そうなると、不動産仲介業者は、「約6パーセント」の仲介手数料受領を目指してくるのが当然の流れです。
そして、このことが、不動産仲介業界の不透明さの原因の一つとなっているのです。
皆さんが一番気になる「売主」または「買主」が受ける弊害については、次回、もう少し詳しくお伝えします。
CFP 永田 博宣