仲介手数料と不動産仲介のしくみ(2)
前回の仲介手数料と不動産仲介のしくみ(1) では、ひとつの不動産取引において、仲介手数料は合計で約6パーセント発生しているというお話をしました。
仲介手数料を収益とする不動産仲介業者は、出来るだけ「約6パーセント」の仲介手数料受領を目指してくるわけですが、このことにより「売主」または「買主」が受ける弊害というのは、どういったことでしょうか?
■あなたが「売主」の場合
所有不動産の売却を、ある不動産仲介業者(例えばA社)に依頼します。
通常、A社は、その物件が早く、高く売れるように、自社で購入者を探すと同時に業者間の情報網に情報を流します。
自社で購入者を見つけることが出来れば、売主からも購入者からも手数料を受け取ることができるため仲介手数料は約6パーセント。
しかし、他社が購入者を連れてくれば、約3パーセントの受領となります。
ここで問題となるのは、A社がどうしても「約6パーセント」の仲介手数料受領を目指して、他の不動産仲介業者に情報を公開しない場合、または、公開したとしても購入者を連れてくることを受け付けない場合です。
売主から見れば、A社が合計でいくらの仲介手数料を得ようが関係のないことですが、そのせいで、依頼している売物件の情報が多く広まらないとしたらどうでしょう?
不動産の購入者はどこにいるかわかりませんし、どの不動産業者に相談しているのかもわかりませんから、A社の都合だけで、情報公開の機会を失っているとすれば、残念な話です。
さらに、もう一つの問題点は、こういった状況が、売主に伝えられていないことです。
不動産仲介業者間の情報のやり取りは、業者間でしか閲覧できないサイトを中心におこなわれており、一般の方には情報がどのように公開されているのかわからないようになっています。
悪く言えば、売主に対する報告内容と実際に行っている内容が違っているということも考えられます。
もちろん、不動産仲介業者のほとんどがこういったことをしているという話ではありません。
しかし、このようなケースが実在するということを知っておくのもいいでしょう。
次回は、「買主」の場合について、そしてその次は、あなたにも出来る対策についてのお話を続けていこうと思います。
CFP 永田 博宣