建売りと建築条件付売地
新築一戸建ての購入を検討しているときに、広告で「建築条件付売地」を見かけることも多いでしょう。
特に都心部では、「建売り」と「建築条件付売地」とでは、建物が完成すると、見た目ではほとんど区別がつかないものも少なくありませんが、その契約形態には違いがあります。
今回は、「建売り」と「建築条件付売地」の契約形態および、仲介手数料の違いについてわかりやすくお伝えします。
■契約形態について
「建売り」とは、不動産業者が建物を建て、土地と一緒に購入者に売却するものです。
通常は、不動産業者が土地建物の売主となり、購入者との間で「土地建物の売買契約」をおこないます。
これに対し、「建築条件付売地」では、売っているものは「土地」であり、その土地購入者との間において、一定条件のもとで建築請負契約の成立を条件としています。
つまり、契約形態としては、「土地の売買契約」と「建物の建築請負契約」の2種類の契約を締結することになります。
■仲介手数料について
みなさんが「建売り」または「建築条件付売地」を購入しようとする際には、不動産仲介業者から物件の紹介を受けることが多いでしょう。
その紹介を受けて購入する場合には、不動産仲介業者に対して仲介手数料を支払うことになります。
「建売り」の場合には「土地建物の売買契約」が仲介手数料の対象となりますが、「建築条件付売地」の場合には「土地の売買契約」のみが仲介手数料の対象となります。
なお、はじめ「建築条件付売地」で契約した後に、「建売り」の契約に差し替える業者もあるようですが、その際には、建物の契約形態も「売買」になるため、仲介手数料の対象となります。
さらにもうひとつ、売買代金(残代金)の支払い時期についても注意が必要です。
「建売り」なら、完成後の引渡し時にまとめてお金を支払えばいいのですが、「建築条件付売地」なら、土地の引渡時にまず土地代金全額を支払わなければなりません。
住宅ローンを利用する際には、このような資金の流れや融資のタイミングにも気をつけておきましょう。
もちろん、「建築条件付売地」では「建売り」と比べ、建物のプランが選べる等、この他にもたくさんの違いがあるでしょうが、少なくとも今回お話した内容は知っておいて損はないでしょう。
CFP 永田 博宣